【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
リヴァイは静かに金髪の男を睨んだ。
「俺はそんなに信用ねぇのか」
真意が読み取れない微笑に、リヴァイは苛立ちを隠せなかった。
しかし、対照的にエルヴィンは余裕たっぷりに見据える。
「お前ほど信用できる相手などそういないぞ、リヴァイ。ただ、ブルームは・・・」
透き通る青い瞳とは裏腹に、厚いベールで覆われた本心。
「お前を縛り付けるため・・・そして解放するための、切り札にさせてもらう。人類の未来のためにな」
「・・・俺を拘束してぇのか、自由にしてぇのか・・・いったいどっちなんだ」
「だから、それはお前次第だよ」
いつかこの男と腹を割って話ができる日は来るのだろうか。
否。
考えても無駄だ、自分だってそれを望んではいない。
「相変わらず何が言いてぇのかわからんな、てめぇはよ」
「そうか? そいつはすまない」
エルヴィンはグラスの中の酒を全て喉に流し込んだ。
そして、再び口元に笑みを浮かべる。
「まぁ、気にするな。その耳に聞こえているものも、その目に見えているものも、真実とは限らない」
「嘘つきだってことを認めるのか?」
「言っただろう。俺はお前よりも嘘が得意だと」
二人の間に風が吹き、リヴァイの前髪がなびく。
「・・・まぁいい。だが、一つだけ言っておく」
鋭い瞳がエルヴィンを突き刺した。
「さっきはまだお前の首を刎ねるつもりはねぇと言ったが・・・」
エルヴィンの顔から笑みが初めて消える。
「もしサクラを死なせたら、その場でお前を殺す」
沈黙。
そしてエルヴィンは屋上から微かに見えるウォール・ローゼに目を向けた。