【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
「あれ?ボーっとしちゃってるけど、大丈夫?」
「い、いつかはその日が来るとは思っていましたが、やはり驚いてしまって・・・」
慌てて顔を上げたサクラを見て、ハンジは優しく微笑んだ。
「そのことで君に見せたいものがあるの。さぁ、行こう」
「はい」
ハンジとモブリットの後をついて、上官用の棟へ行く。
エルヴィンの執務室の前を通りさらに奥へと廊下を進むと、突き当たりの所で今度は薄暗い地下へと降りる階段があった。
「ここを降りたところだよ」
「はぁ」
上機嫌なハンジの様子を見ているうちに、だんだんと不安になってきた。
この人のテンションが上がる時といえば、それは絶対に巨人絡みだからだ。
まさか、地下室のドアを開けたら薬漬けになった巨人の頭があったりして・・・?
それとも、首輪に繋がれた巨人だったり・・・?
「さぁ、入って!」
ハンジは重そうな鉄の扉を軽々と片手で開けると、先にサクラを中へと促した。
そこは、広い部屋。
左右の壁には等間隔にランプが埋め込まれており、奥の壁は一面本棚となっている。
そして、部屋の中央に置かれた長テーブルには、設計図らしきものや、羽ペン、インク、定規、パンくずなどが乱雑に置いてあった。
「ここは、私の作業部屋だよ。ここで巨人を生け捕りにするための道具や作戦を考えるんだ」
ハンジは消えていた幾つかのランプに油を差し、火を灯す。
すると、部屋の明かりが増し、全体が良く見渡せるようになった。
「あれを見て、サクラ」
指差す方を見ると、無数の樽のようなものが並んでいる。
それぞれの蓋の部分に細工がしてあって、7つの穴が空いていた。
「これはね、対特定目標拘束兵器っていうんだ」
「巨人を捕獲するためのものですね?」
「そう。この樽の中に7本の筒が入っていて、それぞれに金属製の鏃がついたワイヤーが仕込んである。こいつを巨人の体に打ち込み、もう片方を壁などに打ち込んで動きを止める」
「・・・訓練兵の頃に習いました。実物を見るのは・・・初めてです」
これはハンジが考案したものなのだろう。
実際に巨人と交戦したことがあるからこそ生み出すことができた産物。
これを使って、巨人を捉えるのか。
サクラは不思議と胸の高鳴りを覚えた。