【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「悔いが残らない方を、自分で選ぶ。俺は、アイツに決めた」
それは、覚悟を決めた声だった。
これ以上は何を言っても無駄だろう。
エルヴィンはそっと目を閉じると、大きくため息を吐いた。
「では、こうしよう。これを実行するかどうかはブルームに決めさせる。もし彼女が拒否したらこの企画は却下する」
「それでいい。だが、あまり詳細は言うな」
「彼女を驚かせたいのか? お前も可愛いところがあるじゃないか」
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは顔をしかめたが、相手を言い負かせるような言葉が見当たらないので口をギュッとつぐむ。
「驚かせたいというより・・・失望させたくない。桜が生息しているという山に行っても、花が咲いているとは限らない」
「資料にはちょうど今頃だと書いてあるが」
「その年によっては、1週間程度で散ってしまうこともあるらしい」
命懸けで辿り着いても、丸裸の木だったらきっとサクラは失望する。
だったら、何かの生態調査と嘘をついた方がいい。
「仕方ないな。俺はリヴァイよりも嘘をつくのが上手いから、ブルームにはバレないように言ってやろう」
「それだけはお前に全幅の信頼を寄せている」
なんとか皮肉に聞こえるように言うと、エルヴィンは力無く笑っていた。
心の底から反対していることは、リヴァイもわかっている。
それでも・・・
それでも・・・選んだ。
サクラを・・・・・・