【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「壁外に行きたい」
そう言うと、エルヴィンは顔を上げて眉間にシワを寄せた。
一兵団の団長である以上、仕事は大量にある。
“後にしてくれ”と追い払うように手を振った。
それでもリヴァイは怯まず、山積みされた書類の一番上に持ってきた企画書を置く。
「企画は自分で立てた」
「お前が? 明日は巨人が降るかな」
わざとらしく窓の外を確認するエルヴィンに、リヴァイのこめかみに青筋が浮かぶ。
「てめぇ・・・とにかく企画書を見ろ」
「次の壁外調査への予算はまだ下りていない。だから、それまで・・・」
「いいから、見ろ」
いつもと違うリヴァイの雰囲気に気づき、ため息をつきながら企画書をを手に取った。
そして、一通り目を通し終えたエルヴィンの顔つきが変わる。
「正気なのか、リヴァイ」
そこにはこう書かれてあった。
桜という植物の調査のため、ウォール・マリア北東部の山への遠征を要請する。
その際に必要な人員は、特別作戦班のみ。
また、同班の構成は自分とサクラ・ブルームの2人である。
「あらたまって何を言い出すかと思えば・・・お前は俺の首を飛ばす気か?」
これを許可すれば、リヴァイとサクラの身に何かあった場合、間違いなくエルヴィンが責任を取ることになる。
とうてい受け入れることのできない相談だ。
エルヴィンはリヴァイに思い留まるよう、諭した。
「残念だが、人類最強である以上、お前に死は許されない」
人類で最も巨人に立ち向かう力を持っているということは、すなわち人類の希望だということ。
しかしリヴァイはそんなエルヴィンの訴えを聞いても、首を縦には振らなかった。