【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「ここには亡き家族との思い出があるんだろ?」
とても温かい腕。
とても優しい声。
それなのに涙を止めることができない。
「お前の大切な記憶を、俺も見てみたかった」
抱き締めるその力は苦しいほどに。
リヴァイの瞳にもその景色が映っていた。
「悪くない・・・」
そのまま目を離さなくていい。
清らかで美しい光景は今、お前と俺だけのものだから。
「サクラ・・・愛している」
耳元に優しくキスをする。
間に合って、本当に良かった。
桜色の風が二人をそっと撫でる。
サクラは涙で頬を濡らしたまま振り返った。
「兵長・・・」
両腕をリヴァイの首に回し、体を寄せる。
絶対的序列社会である兵団において、リヴァイとは階級が違いすぎる。
たとえ許されない恋であっても・・・
「私もリヴァイ兵長を愛しています」
今、心から幸せを感じている。
この景色は悲しい記憶だと思っていた。
でももう違う。
愛する人が命懸けで見せてくれた奇跡だ。
リヴァイはサクラの顎に手を添え、唇を重ねた。
これまでよりも熱く、そして深く。
吐息の合間に、何度も“愛している”と囁きながら・・・
桜が満開の美しい世界で二人は、儚いまでに互いの存在を確かめ合っていた。