【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「俺の助けは必要なかったようだな」
こともなげに言う兵士長に、サクラは苦笑いをする。
「い、いちおう、調査兵ですから」
「調査兵の前にヒヨッコって付けとけ」
でも、そう言うリヴァイの口調は優しく、どこか嬉しそうだった。
きっとサクラの成長を喜んでいるのかもしれない。
初めて会った時は、まともにうなじも切り落とせない新米兵士だったのだから。
「この先は巨人に遭遇しても、ソイツが奇行種で無い限りは馬で走り続けるぞ」
「目的地は近いんですか?」
「いや、この草原をもう少しで抜けられるというだけだ。だが、その先は山だから巨人と遭遇しても立体機動を使える」
「わかりました」
リヴァイを信頼し、すべての決定を委ねる。
そのことに不安はまったくなかった。
草原を抜けるまで残り10キロ弱。
馬の脚では15分程度の距離だが、幸運にも巨人と戦わなければいけない場面は無かった。
一度だけ8メートル級が追いかけてきたが、全力疾走することで逃げ切ることができた。
だんだんと木が増えてくる。
道も少しずつだが傾斜がついてきた。
「一旦、止まるぞ」
リヴァイの支持でシェリーを止まらせ、その間に馬たちに水を与える。
「目的地は近いんですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは地図を広げ、方位磁石で位置を確認した。
ここは登山道の入り口らしく、まばらに休憩宿らしき建物がたっている。
あれ・・・?
ここって・・・・・・
なんだろう、懐かしい。
デジャヴだろうか。