【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「そうか・・・今まで黙ってて悪かった」
「謝らないでください。ちょっと驚きましたけど」
リヴァイに微笑んでみせるサクラを見て、エルドは頭を殴られたような感覚を覚えた。
彼女はいったいなんなんだ・・・?
二人で壁外遠征をするなんて、正気の沙汰ではない。
なのに、なぜ笑顔を見せられる?
自分の力を過信しているわけではないだろう。
自暴自棄になっているわけでもない。
リヴァイ兵長が一目置くだけある。
物理的な力とは別次元の強さを感じずにはいられなかった。
「では兵長、俺らは一旦ローゼに戻ります。明日、この場所までお迎えにあがります」
二人を信じよう、そう決めたエルドがリヴァイに向かって言った。
「ああ、すまないな」
「いえ。俺らがそうしたいだけなんで、気にしないでください」
エルドは馬に跨り、リヴァイとサクラに向かって敬礼をする。
「では、ご武運を!」
そして四人は馬を全速力で走らせ、ウォール・ローゼへと戻って行った。
「・・・兵長は本当に良い部下をお持ちですね」
「ああ・・・」
リヴァイとエルドやグンタ達、特別作戦班は部外者には分からない絆で結ばれている。
リヴァイが直々に指名したからというのもあるが、それ以上にお互いを信頼する気持ちがあるからだろう。
そんな彼らを残し、先に進もうとしている兵士長の横顔を見る。
すると、リヴァイもサクラを振り返った。
「本当に後悔はねぇな?」
「ありません」
くどいですよ、とばかりに笑顔で答えると、馬を寄せたリヴァイの手がサクラの頬を包んだ。
「リヴァイ兵長・・・?」
黒髪の間からのぞく、真剣な瞳に心臓の鼓動が速まる。
「いいか、俺のワイヤーが届かない所まで絶対に離れるな」
「は、はい」
「どのような状況になっても、必ずお前を守る」
そう言ったリヴァイはこれまでにないほど力強く、揺るぎない決意で満ちていた。