【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「サクラ」
「・・・え? は、はい!」
急に名前を呼ばれ、声がうわずってしまう。
「お前に、選択するチャンスをやる」
「せ、選択・・・?」
「エルド達とはこの場で別れ、ここからは俺と二人で目的地を目指すことになる」
驚きのあまり、サクラの瞳が大きく開いた。
「30キロは草原が続き、巨人と遭遇すれば平地戦となる。目的地はさらにその20キロ向こうだ」
その距離をたった二人で・・・?
自殺行為、その言葉が脳裏をよぎった。
「嫌なら、エルド達と一緒にローゼへ戻ってもいい。エルヴィンの命令のことは忘れろ」
リヴァイは、ついて来いとも、帰れとも言わなかった。
進むか戻るかの選択を、サクラ自身に委ねている。
“今回の壁外遠征を発案したのはリヴァイだ”
ハンジの言葉が蘇った。
「俺に命を預けて進むか、それとも戻るか・・・後悔しない方を選べ。お前の選択を尊重する」
“リヴァイには私達の意見や忠告を無視しても、実行を急がなければならない理由があった。
リヴァイがこの無謀とも言える遠征を強行したのは・・・”
「わ・・・私は・・・」
“すべてはサクラ、貴方のためなんだよ”
体が震える。
でも、気持ちはとうに固まっている。
「私はリヴァイ兵長を信じると決めてます。先に、進みます」
リヴァイは顎を上げ、強い光を見るように目を細めた。
心のどこかでサクラが戻ることを選択して欲しいと思っていた。
だがそれ以上に、サクラが自分を信じてくれたことに胸が熱くなる。