【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「用意はいいか?」
先頭のリヴァイが馬上から声をかける。
二列目にグンタとエルドが並び、三列目にサクラ、そして四列目に残りの二人が並んだ。
「市街地を抜ける前に巨人と遭遇したら、立体機動を使って応戦する。俺が戦闘に入ったら、その間の指揮はエルドが執れ」
「了解!」
リヴァイが合図の煙弾を上げた。
普段なら調査兵が壁外に出発する際には鐘が鳴り響くが、その代わりに壁上の駐屯兵が大砲を鳴らした。
「行くぞ!」
一斉に手綱を引いて、旧市街地へと前進する。
事前に壁上固定砲で付近の巨人を始末してくれていたので、いきなり遭遇することはなさそうだ。
しかし油断はできない。
建物の影に潜んでいる巨人が、いつ現れるかわからないからだ。
「サクラ」
少し前を走っていたエルドが、こちらを振り返った。
「だいじょうぶか?」
「はい、今のところは」
リヴァイ班ナンバー2のエルドは、気配りのできる性格で後輩から人気が高い。
足手まといにならないよう、必死について行っているサクラを気遣ってくれる。
「巨人が現れたら、なるべく応戦せずに俺のそばにいろ。兵長やあいつらが始末してくれる」
「力不足ですいません」
すると、エルドは少し驚いたような顔を見せた。
「謝ることないぞ。ションベン漏らして泣かない分、お前はじゅうぶん強い」
「はは・・・そんな人がいたんですか」
「ああ、二人ほど知っている」
悪戯っぽく笑うエルドに、少し気持ちが軽くなる。
正直なところ、リヴァイ班の兵士は自分が仲間になることを快く思っていないのではと不安だった。
どう考えても実力に差がありすぎる。
でも、エルドの様子を見る限りは、思い過ごしのようだった。