【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「さ、リヴァイが待っているよ。行っておいで」
「ハンジ分隊長」
きっと、話してくれたことの半分も理解できてないかもしれないけれど・・・
ハンジはサクラだけでなく、リヴァイのことも心配していることだけはわかった。
「必ず、帰ってきます。リヴァイ兵長や、みんなと一緒に」
心臓に拳を当て、敬礼。
そして、壁の向こうへと飛び降りた。
眼下では、リヴァイがサクラを見上げている。
眩しそうに目を細めながら。
ヒュウッと、風を切る音。
無重力状態を感じ、立体機動装置を発動させる。
リヴァイがまるで天から舞い降りる小鳥を迎えるように、両手を広げた。
ワイヤーが巻き上げられ、地面すれすれで体が浮く。
そして、両足に軽い衝撃を感じたのと同時に、肩を抱きとめられた。
「兵長・・・」
「随分、上で話し込んでいたじゃねぇか。あの野郎、俺の悪口でも言ってたか」
「分隊長がそういう人ではないことを一番よく知っているのは、兵長のくせに」
サクラが笑いながら言うと、リヴァイは少し拗ねたような顔を見せた。
「・・・お前、クソメガネに似てきたな」
「それ、一番嬉しい褒め言葉です」
「・・・やめとけ、死ぬのが早まるだけだぞ」
これからわずか六人で壁外調査に行く人間の言葉とは思えない。
こんな時でさえ冗談が言えるリヴァイの強さを、改めて感じた。
今回の遠征では、兵士が乗る馬以外に、予備の装具やガスを積んだ馬が並走する。
巨人が多く出現する南とは逆方向に行くとしても、それなりの数との遭遇は覚悟しなければならなかった。