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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第8章 Beneath A Gentle Shower ※



出発のために壁上から馬や荷物を下ろす作業は、エルヴィンが話をつけてくれた駐屯兵団の協力があっても時間がかかった。

「よし、最後の馬を下ろすぞ!」

慣れないリフトに緊張顔のシェリーが少しずつ下ろされていくのを、サクラはハラハラしながら見守っていた。
ようやく馬一頭が乗れるほどの小さな荷台だ、シェリーが少しでも暴れたら落ちてしまうかもしれない。

「・・・心配するな」

横から声が聞こえて顔を上げると、リヴァイがいつの間にかそこにいてシェリーを見下ろしていた。

「アイツの度胸は呆れるほどだ。俺の馬がそうなようにな」
「兵長の・・・」

ああ、そうだった。
リヴァイの馬と自分の馬は性別こそ違えど、姿や気性がまったく一緒の双子馬。
彼がそう言うなら、心配は無用なのだ。

「そういえば、なぜ前門から出発しないのですか?」
「目的地はカラネス区からは120キロ北上した場所にある。前門から出発するより、直線距離で一番近いここから向かう方が巨人との遭遇が少なくてすむからだ」
「なるほど・・・理解しました」

サクラは地上50メートルの壁からウォール・マリアを見渡した。

旧市街地の向こうに、緑の美しい山々が並んでいる。
巨人さえいなければ本当に平和で美しい土地だ。
2羽の鳥がサクラのすぐそばを通って、ウォール・マリアの方へ飛んでいく。

自由で羨ましい・・・

「サクラ」

鳥を見つめていることに気がついたリヴァイが、サクラの後頭部をクシャっと掴んだ。


「いつか、こんな大掛かりなことしなくても壁の向こうに行ける日が来る。自由にな」


ポンポンと頭を撫でられ、サクラに笑みが浮かぶ。
そして何かを言おうと口を開きかけた時だった。

「おーい、リヴァイ!サクラ〜!」

向こうからハンジが大きなネットのようなものを持って、こっちに走ってくる。
リヴァイのこめかみがピクリと動き、不機嫌そうに顔をしかめた。

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