【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
しかし、そのエルヴィンにすら表情に迷いを感じられた。
「サクラ。正直なところ、私もこの作戦は非常に危険で、君には荷が重すぎると思っている」
「団長・・・」
「だから、私は君の意思を問いたい」
一呼吸起き、全てを見通すような碧眼をサクラに向ける。
「君はリヴァイ兵士長に命を預け、作戦を遂行することができるか?」
兵長に・・・命を預ける・・・?
ソファーに座っているリヴァイに目を向けることができない。
これが夢なら覚めて欲しい。
自分がリヴァイ班に入るなど、考えたこともなかった。
いや、あってはならないことだ。
「・・・わ・・・私には・・・リヴァイ班に入る資格はないと思います・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「明日の壁外調査が怖いのではありません。私のような実力のない人間がリヴァイ班に入り、みなさんの足を引っ張りたくないんです」
自分のせいでリヴァイや、精鋭達の身に何かあったら調査兵団は大きな戦力を失う。
足手まといになるだけなら、団長を失望させても辞退した方がいい。
すると、それまで黙っていたリヴァイが口を開いた。
「オイ・・・そういうことを聞いてんじゃねぇ」
ソファーから立ち上がると、サクラのすぐそばまで歩み寄る。
「お前の実力がどうかは重要じゃない。俺は、お前を指名した」
淡々とした口調。
しかし、サクラを見つめる瞳には熱がこもっていた。
「俺の班に入るために必要なことは・・・俺を信じることができるか、だ」
細くて形の良い指が、サクラの頬と唇を撫でる。
「サクラ・・・お前は、俺を信じるか?」
エルヴィン不在の壁外で、リヴァイに命を預けることができるか。
この人はこんなに真っ直ぐな瞳で自分を見ている。
この手の温もりも、言葉も、確かなものだ。