【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
「ち・・・ちょっと待ってください、話がよくわかりません」
サクラは救いを求めるようにハンジを見た。
すると、ハンジは険しい顔で首を横に降る。
「そうだね、きちんと説明せずに命令をするのはフェアじゃない。悪かった」
エルヴィンは柔和な表情を見せるも、張り詰めた空気が部屋に満ちていた。
いったい何が起こっているのか検討もつかず、サクラはただ立ち尽くした。
「明日、特別作戦班のみで壁外調査に行ってもらう。目的は、ある生態と地質の調査だ」
巨人捕獲ではないのか・・・?
リヴァイ班だけって・・・ということは長距離索敵陣形を使わずに行くということか。
「察しの通り、巨人と遭遇した場合は個々で対応しなければならない」
リヴァイ班の人間なら可能だろう。
しかし、サクラには自分がそれをできるとは思えなかった。
「明日はカラネス区より北の、ウォール・ローゼ壁上から馬をリフトで下ろす。そこから、北東へ向かってもらう」
極少数人数で生態と地質調査・・・
それがウォール・マリア奪還と何の繋がりがあるというのか。
「指揮はリヴァイが執る。君は彼に従って行動してもらう」
話が勝手に進んでいくが、サクラには理解できないことばかりだった。
これだけの少数で壁外に行くということは、それだけ重要かつ危険な調査だということ。
なぜ、自分がそれに参加しなければならないのか。
「私は反対だ、エルヴィン」
珍しく、ハンジが厳しい口調で口を挟んだ。
「危険すぎる。それに、私はサクラの転属に納得したわけではないよ」
「始めにも言ったが、サクラは臨時に特別作戦班へ入るだけだ。作戦が終わり次第、第二分隊所属に戻る」
「違う、この遠征そのものに私は反対しているんだ!」
サクラはこんなに怖い顔をしたハンジを見たのは初めてだった。
それだけこの作戦が危険だという証だろう。
ただ、エルヴィンの決めたことならば、サクラには拒否する理由がない。
とうにこの命は団長へ捧げている。