【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第7章 Lavender
手元に置いてあるランプの油が切れ、灯りが一つ消えた。
「サクラ、もう疲れたんじゃねぇのか」
死んだ家族のことを思い出してつらいだろう。
それに、もう2時近い。
リヴァイは抱いていたサクラの肩から手を下ろす。
「兵長、最後にもう一つだけ、よろしいですか?」
サクラは立ち上がり、ラベンダーを入れていたバケツを手に取った。
そして、底の方から淡い色の可憐な花を取り出し、リヴァイに差し出す。
その瞬間、リヴァイは言葉を失い、瞳孔を大きく広げた。
「この花はゼラニウムといいます。この花を枕元に置いてお休みください」
その、小さな花弁・・・
「きっと兵長に安らぎを与えてくれるでしょう」
覚えている。
初めてサクラ・ブルームという人間を知って、その存在が心に残った日。
いつものように見る孤独で色のない夢で、その日だけ咲いていた花だ。
「・・・その花が持つ言葉は?」
心臓が高鳴る。
現実には存在しないと思っていた。
それが今、こうして目の前にある。
「この花は、二つの言葉を持っています」
リヴァイは自分を抑えきれなくなって立ち上がった。
倒れた桶からラベンダーが流れ、二人の周りが鮮やかな紫色に染まっていく。
サクラの手の中にある、ゼラニウムが揺れた。