【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第7章 Lavender
「これはラベンダーという花です。この香りには心を落ち着かせる効果があるんですよ」
なるほど・・・
この甘い香りは眠気を誘う。
「それに、傷を癒したり殺菌効果もあるそうです」
足先から全身へと温かさが広がる。
体の疲れが消えていくのが分かった。
「いつもこうしているのか?」
「はい・・・眠れない夜は」
「そうか・・・」
リヴァイは、床にひざまずいて足を洗ってくれるサクラの髪を指で梳く。
「お前・・・眠れねぇ夜があるのか」
ここにいれば、嫌というほど死と直面する。
だから、そういう夜があってもおかしくはない。
でも、サクラがそれに耐えていると思うと・・・心が締め付けられるように痛い。
柔らかくて温かい手が、硬くなったふくらはぎの筋肉をほぐしてくれる。
そういえば、体を鍛えるばかりで、ずっといたわっていなかった気がする。
「痛いですか?」
「いや・・・」
膝に肘をついて前屈みになると、サクラの頬を撫でた。
「悪くない」
甘い芳香と、マッサージの心地良さにリヴァイはそっと目を閉じた。