【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第7章 Lavender
“すぐ用意しますので待っていてください”
サクラはリヴァイを談話室に連れて行くと、そう言って出て行ってしまった。
リヴァイは舌打ちしながら、誰かが忘れて行った上着を羽織る。
まったく・・・なぜあんなガキに従っているんだ、俺は。
だが、悪い気はしない。
誰もいない談話室の天井を見上げた。
そういえば、ここで初めてサクラの涙を見たんだった。
友人を亡くし、自分に弔って欲しいと形見の腕章を渡してきた。
あれからまだ1年もたっていないのに、あの頃の彼女がずいぶんと子供に思える。
それは兵士として成長したからなのか、
それとも・・・
リヴァイの瞳に、暗い影がかかる。
「兵長、お待たせしました」
サクラの声に、顔を上げた。
見ると、湯気がたった桶を持っている。
「・・・?」
足元に置いたその桶の中には湯が張ってあり、サクラは紫色の花を沈めていった。
すると、湯が花の色に染まっていく。
「これは足湯というものです。ズボンの裾をまくってもよろしいですか?」
「ああ」
サクラはリヴァイの前に跪くと、裾を膝の下まで折り返して靴を脱がせた。
「熱かったら仰ってください」
片足ずつゆっくりと桶の中に入れる。
少し熱いと思ったがそれも一瞬のことで、じんわりと慣れていった。
湯の中の花が足にまとわりつく感触が、不思議と心地良い。