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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第7章 Lavender




冬の終わりといえど、夜風は冷たい。
リヴァイは井戸で水を汲み、息を止めて頭から一気に被った。

う・・・やはり寒い。
前髪から雫を垂らしながらクシャミをする。

すると、向こうから誰かがやってくる気配を感じた。
暗闇に浮かぶ小さなランプの光を頼りに目をこらす。

オルオではなさそうだ。


「リヴァイ兵長?」

そこにいたのはサクラだった。
手提げランプを右手に持ち、左手にはたくさんの花が入ったバケツを持っている。

「サクラ・・・」

リヴァイの眉間に深いシワが寄った。

「井戸の水で体を洗ったら風邪を引きますよ」

潔癖症のリヴァイにしてみれば、汗だくのままベッドに入る方が体を壊しそうになる。
しかし、渋い顔をしているのはそんな理由ではなかった。

「オイ、お前・・・いったい何時だと思ってる」

「え? じ・・・12時すぎです」

まさか咎められると思っていなかったのだろう、サクラは少し戸惑った表情を見せた。
調査兵団では就寝時間や門限など特に定められていないので、夜間に外出しても規則違反にならないはず・・・


「こんな遅くに一人でいたら危ねぇだろうが」


目をそらしながらポツリと言ったリヴァイを見て、気がついた。

ああ、そうか。

不器用な優しさに、サクラの顔が和らぐ。
この人は自分を咎めているわけではない。
数カ月前、同期に強姦されたことを気にしているのだろう。

「すみません、以後気をつけます」

「・・・・・・・・・・・・」

あの出来事から数週間後、無事に生理がきた時は安堵のあまり便所で泣いてしまった。
そして、吹っ切れたような気がした。

サクラの手元のランプと、井戸端に置いてあるリヴァイのランプの灯りだけが二人を照らす。


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