【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第2章 Light Behind the Clouds
「とりあえず、乾杯する?」
寮に戻ると、フリーダが水の入ったコップを2つ持ってきた。
「乾杯って、なんで?」
「サクラ、念願だった主力部隊に入れたじゃない」
調査兵団は、団長の直下に各分隊があり、それぞれの分隊にいくつかの班が所属している。
分隊長が班長を兼任する各分隊の第一班は“主力部隊”と呼ばれ、エルヴィンの直接指揮のもと作戦を遂行することが多い。
「それを言うなら、フリーダだって第一分隊に入れたじゃない。調査兵団でも特に実力者が集まる、精鋭部隊!」
「でも私は二班だけどね」
「第一分隊第二班といえば、あのナナバ班長でしょ。古参の一人だし、団長からの信頼も厚いってき聞くよ」
「ほーら、また団長の話を出す!絶対、団長に恋してるでしょ」
からかうように笑いながら、水の入ったグラスを渡してくる。
「だから、違うって・・・」
「いいのいいの。命をかけるくらいの相手だもん、恋だなんて簡単な言葉で終わらせたくないよね」
午後になったら、サクラはハンジやエルヴィンらと共にウォール・ローゼ西端の調査兵団支部へ向かわなければならない。
ここに残るミケ班に所属するフリーダとは、ここでお別れだ。
おそらく、次に会う時は壁外調査の時だろう。
「サクラと、私の調査兵団入団に・・・乾杯!」
「乾杯!」
カチンと、二つのグラスがぶつかる音。
一気に喉の奥へと流れ落ちていくのはただの水だったが、その味は揺るがない決意のごとく、少し苦かった。