【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
「本当に良かったのか」
リヴァイはソファーにどかっと座りながらエルヴィンを見据える。
「何が」
「うちは、慢性的な人材不足なんじゃねぇのか?」
「お前がそれを言うか、リヴァイ」
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは黙った。
つい先日も、兵団内が乱れているという話になった際、同じことを言われた気がする。
エルヴィンは全てを見透かすような瞳で、リヴァイの手元を見た。
「俺がこうしていなければ、お前は殺人者になっていただろう」
黒い小鳥が、執務室の窓枠に舞い降りる。
静かだが、張り詰めた空気で満ちた部屋に、くちばしで窓をつつく音が響いた。
「人類最強と呼ばれるお前が、彼らの脅威となってはいけない」
「・・・・・・・・・・・・」
深い色の碧眼を前に、今まで心の中に渦巻いていた冷たく暗い影が少しずつ消えていく。
じっと自分を見ている兵士長に、多くの兵士を見殺しにしてきた団長は儚く微笑んだ。
「人を殺して地獄に堕ちるのは、俺だけでいいだろう」
リヴァイは何も言わず、窓の外に目をやる。
その気配にきづいたのか、黒い小鳥が逃げるように羽ばたいていく。
小鳥の姿が見えなくなると、エルヴィンへと視線を戻した。
「安心しろ・・・」
熱のない三白眼。
この瞳もまた、多くの命が消えていく光景を映している。
「俺も、天国とやらには行けそうにねぇ」
すると、エルヴィンはもう一度微笑んだ。