【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
「もう泣くな・・・」
睫毛の生え際への、優しい口付け。
今度はちゃんと感じることができる。
少しくすぐったくて、サクラは微笑んだ。
すると、両手で頬を包み込まれ、上を向くよう優しく促される。
朝日を背にする兵士長は、とても儚い。
もし、自分に穢れのない部分が少しでも残っているなら・・・
この人に捧げたい。
そう願うだけなら、許されるだろうか。
本当に静かで、穏やかな世界。
ここでなら、貴方になら、ナイフで喉を切り裂かれても幸せだと思えるかもしれない。
祈るように、人類の希望を見上げるサクラ。
そして、その祈りを受け入れるかのように、ゆっくりとリヴァイの唇がその唇に重ねられた。
ただ軽く触れているだけなのに、体中の緊張が解けて痛みが消えていく。
温かい・・・
数秒が、とても長く感じる。
「サクラ・・・」
唇は触れ合ったまま。
リヴァイは名を呼んだだけで、その先に言おうとしたことは続けなかった。
そして名残惜しそうに離れると、サクラをベッドに寝かせる。
「もう少しで医師が来る。ハンジも飛んで来るだろうしな、それまで寝ていろ」
「兵長・・・」
離れたくない。この優しい時間が永遠に続いて欲しい。
でも、それを自分から言うのは許されない。
この人は、あくまで上官なのだから・・・
すると、リヴァイはサクラの髪を撫でた。
「お前が眠るまではここにいる」
本当に、この人の手は温かくて安心する。
サクラは目を閉じると、そのまま深い眠りに落ちていった。