【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
どんなに犯されても、陵辱されても、最期は人類のためにこの命を捧げることができればそれでいいと・・・
「なのに・・・自分は穢れてしまったという事実を・・・心が拒否するんです」
窓の外から、鳥のさえずりが聞こえた。
一羽の白い小鳥が、ガラスの向こうからこちらを覗いている。
サクラはどうしてもリヴァイと目を合わせることができなかった。
「もう・・・私には・・・兵士ではなく、女性として・・・捧げられるものは何も残っていない・・・」
窓際にいた鳥が遠くへ羽ばたいてゆく。
シンと静まり返ると同時に、リヴァイは衝動的にサクラの頭を抱き寄せた。
「・・・兵長・・・?」
「安心しろ・・・」
胸に押し当てられた左耳に、リヴァイの心臓の鼓動が聞こえてきそうだ。
「お前はどこも穢れていない」
こんなに近くに声を感じる。
直接温もりを感じる。
布団の上に置いたままのサクラの手に、リヴァイの手が重ねられた。
「もし・・・お前のことを穢らわしいと言う奴・・・まして、お前のことを穢す奴がいたら・・・」
声が、わずかに震える。
「この俺が許さない」
そっと、力の入らないサクラの手を取ると、口元に近づけてキスをした。
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイに拭ってもらったはずの涙が、再びサクラの瞳から零れ落ちる。
「やっぱり・・・残念です・・・」
きっと、水銀の毒が末端神経に影響を及ぼしているせいだろう・・・
「ずっと手が痺れていて・・・兵長の温もりを感じることができない・・・」
すると、リヴァイは濡れたサクラの目元に唇を寄せた。