【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
「兵長、いつからここにいらしていたんですか?」
「朝日が昇る、少し前だ」
今は6時。
ということは、少なくとも1時間前からいてくれたということか。
「ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」
「気にするな」
抑揚のないリヴァイの声。
不思議と、とても心地良い。
「もし死ぬんだったら、看取る奴がいた方がいいに決まってる」
「・・・・・・・・・・・・」
その時、リヴァイ班の兵士が亡くなった時の光景が目に浮かび上がった。
この人は・・・こんな自分にも一人で死なないように付き添ってくれていたのか。
サクラが黙ってしまうと、言葉が悪かったと思ったのかリヴァイは視線を泳がせた。
「今のは冗談だ」
あの言葉が本心であろうと、冗談であろうと、そんなのはどうでも良かった。
救われた気がした。
「オイ・・・何故、泣いてる・・・」
サクラの両目から涙が溢れる。
「どこか、痛むのか?」
痛む?
それなら下半身を中心に、どこもかしこも痛い。
殴られた顔も腫れ上がっているだろう。
でも違う。
この涙が出るのは・・・
貴方がとても優しいから。
サクラを気遣ってか、それまで離れた場所に立っていたリヴァイ。
しかし、止まることのない涙に、少し戸惑いながらベッドのそばに歩み寄る。
「・・・気分が悪いのか?」
首を横に降ると、リヴァイはそっと右手の親指でサクラの涙を拭った。
数え切れないほどの巨人を殺した手は、とても温かい。
「・・・残念で・・・ならなくて・・・」
朝日の中に佇む貴方は、すごく綺麗。
憂いを漂わせたその横顔も、鋼のような筋肉で覆われたその体も、本当に綺麗だと思う。
そんな貴方を目の前にしていると、自分を受け入れられなくなる。
「兵士である以上、純潔を守ることよりも大切なことがあると・・・思っていました・・・いえ、思おうとしていました」