【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
間違いない、コイツだ。
「ブルームの件、と言えばわかるか?」
「え・・・」
アルバートが目を泳がせたことを見逃さない。
「ここには関係ねぇ奴もいるから、あまり詳しくは言いたくない。だが、内容はわかるだろ?」
「それは・・・わかりません・・・昨日は酔っ払ってて覚えてないんです」
「ああ・・・そうか」
ベッドの下に何本かの酒瓶が転がっている。
「覚えていないからって、やってねぇってことにはならねぇぞ、クソ野郎」
首をさらに締め上げる。
ベッドの上段にいた兵士が何かを叫んだが、耳に入らない。
「気持ち良かったか?クセになりそうだったか?」
「リ・・・ヴァ・・・イ・・・兵長・・・」
「満足したてめぇがクソして寝た後も、アイツは苦しみ続けていたことがわかるか?」
殺す。
それも、最大の苦しみを与えてから。
「リヴァイ兵長、おやめください!このままではアルバートが死んでしまいます!」
青ざめた兵士が悲鳴に近い声で叫んだ。
転がるようにベッドから降りてくる。
「暴力を振るうなんて、兵長らしくないですよ!」
「・・・あ?」
リヴァイはゆっくりと彼の方へと目を向けた。
「お前・・・俺を聖者かなんかと勘違いしてねぇか?」
あまりの迫力に黙ってしまう。
「この程度を暴力と呼ぶのなら、俺とお前は随分と認識に開きがあるな」
リヴァイは少し間を置いて、酸欠で目が充血しているアルバートを見据えた。
そして首から手を離し、今度は腹を蹴飛ばす。
「ゲホッ、ゲホッ」
アルバートは後ろによろめき、激しく咳き込んだ。
「オイ、俺が“暴力”だと認識する仕打ちを受けてみるか?」
アルバートは、まるで牙を剥いた狼を目の前にしているような感覚に陥った。
人類最強と謳われる男の非情な瞳は、こうも恐怖を与えるのか。