【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
「も・・・申し訳ありませんでした!」
アルバートはリヴァイに向かい、命乞いをするように額を床に擦り付けた。
情けないその姿に、吐きそうなほど嫌悪感を覚える。
「誰に謝ってる。てめぇが俺に何かしたのか?」
「そ、それは・・・その・・・サクラにしたことを・・・」
リヴァイは土下座をするアルバートの後頭部を、かかとで踏みつけた。
「ブルームは誰も憎んでいねぇし、恨んでもいねぇよ。てめぇの名前を明かさず、今回のことは自分が悪いと言っていた」
「え・・・?」
サクラがリヴァイに訴えたから、ここに来たのではなかったのか。
ショックを受けたように自分を見上げたアルバートに対し、再び怒りを抑えることができなくなって胸ぐらを掴んで強引に立たせた。
「お前のせいで、アイツは調査兵として生きるため“賭け”に出た。負ければ死ぬだろう」
女として屈辱を受けただけじゃなく、命も危険にさらされている。
「てめぇの罪は、重い」
「・・・ガッ・・・へい・・・ちょう・・・・・・」
リヴァイは自分よりも身長が高い男を、下から睨みあげた。
もう少し力をこめれば、首をへし折ることができるだろう。
「いいか、俺はこれからゆっくりと時間をかけて、ブルームが味わった以上の苦しみを味合わせてやる」
「・・・・・・ひ・・・」
「そしてもしブルームが死んだら、この俺が必ずお前を殺す」
どこに逃げようとも。
いや、逃げる隙など与えない。
「安心しろ・・・殺すことに関しては自信がある。むしろ、殺さないように苦痛を与える方が問題だ」
アルバートは恐怖と酸欠で、口から泡を噴いてとうとう気絶した。
「チッ・・・汚ぇな」
ドサリと床に投げ捨てて、硬直しているルームメイトへ視線を移す。
「睡眠の邪魔をして悪かった」
「い・・・いえ・・・」
「今見たことはすべて忘れろ。こいつは酒に酔って規則を破った・・・それだけのこと」
「は、はい!」
そう答えなければ殺される。
それだけ、今のリヴァイは殺気立っていた。
英雄だ、人類の希望だと、人々の尊敬を一身に集めながら、奥底に狂気を秘めている。
その兵士は、リヴァイの強さと恐ろしさを目の当たりにし、兵士長が去った後も震えが止まらなかった。