【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
「それを聞いてどうする?」
「お前も言っていただろ。罪を犯した者は裁かれなくてはならないと」
「・・・・・・・・・・・・」
エルヴィンはハンジと顔を見合わせた。
自分よりもキレる2人のことだ、もう目星はついているはず。
「これは、あくまで憶測でしかないけれど・・・」
黙ったままのエルヴィンに代わり、ハンジが口を開いた。
「サクラの体からアルコールが検出された。おそらく犯人は大量の酒を飲んでいたはずだ。となると、談話室で飲んでいた可能性が高い」
「・・・で?」
「犯行現場が中庭だった。なぜ、そこだったのか。それは酔い潰れた犯人をサクラが部屋まで連れていこうとしたのではないかと思うんだ。中庭を通った方が、明るい廊下よりも早かったんだろう。そして、人目がなく暗い場所でも2人きりになれるという心理を考えると・・・」
物事を順序立てて答えを導きだすやり方は、ハンジ独特のもの。
リヴァイは一切口を挟まず、結論を待った。
「犯人とは付き合いが長く、気心が知れた仲・・・つまり同期で同じ訓練兵団出身ということになる」
そこまで聞くと、リヴァイはハンジに背を向けた。
「待て、リヴァイ」
男子棟に行こうとしたリヴァイを、エルヴィンが止める。
「何をするつもりだ」
「犯人を締め上げる」
「処分は俺が考える。お前は手を出すな」
「・・・何言ってる」
リヴァイは氷のような瞳でエルヴィンを見据えた。
「てめぇらの仕事は頭を使うこと。実行するのは、俺の仕事だろ」
エルヴィンもハンジも、それ以上は何も言えなかった。
そしてリヴァイは暗闇の中に消えて行った。