【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
時計を見ると、まだ3時。
しかし、ハンジがドアを開けると、そこに立っていたのはエルヴィンだった。
そして、もう一人・・・
「リヴァイ・・・」
その名前に、サクラの心臓がざわつく。
“会いたくない”と思ってしまった。
「ブルームの容体はどうだ?」
「少し前に目を覚ましたところだよ。落ち着いているようだけど・・・」
エルヴィンとハンジが話している後ろで、リヴァイは何も言わずに俯いている。
ただ、とても重苦しい空気を漂わせていた。
「サクラ、少し話せるか?」
エルヴィンが聞いてくるやいなや、サクラは慌てて体を起こそうとした。
尊敬する団長の前で横になっているわけにはいかない。
「動いちゃダメだよ、縫合したばかりなんだから。今は麻酔で痛みがないかもしれないけど!」
ハンジに押し戻され、またベッドに体を預ける。
なんだか情けなかった。
初めてエルヴィンと個人的に会話をするのに、このような状態になっているとは・・・
「すまない。今回のことは、管理が行き届かなかった私の責任だ」
ベッドの横でサクラに頭を下げる。
「団長!どうか頭を上げてください、これは自分の過失です」
「兵舎内で起こったことについては私に全責任がある」
「いえ、これは兵士個人の問題です。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」
「・・・・・・・・・・・・」
エルヴィンは一度目を閉じ、そして口を開いた。
「サクラ、いったい誰にやられた?」
それは、聞く側にとっては一番聞きにくい、
聞かれる側にとっては一番聞かれたくない質問だった。
「教えてくれ。罪を犯した者は、裁かれなくてはならない」
「・・・・・・・・・・・・」
サクラは視線を落とした。
アルバートを許すことはできない。
でも、彼にも苦しい想いがあって、あの凶行に及んだんだ。
「罪を犯した者は・・・いません」
彼は今でもじゅうぶん憐れな男だと思う。
だから・・・自分さえ耐えれば、それ以上傷つくことはないだろう。
「サクラ・・・」
自分は、この目の前の人に命を預けている。
アルバートは自分を犯しただけで命を奪わなかったから、これからもこの人のために戦うことができる・・・
何も失っていないじゃないか。
こうして調査兵で居続けることができるんだから。