第7章 吸血ネズミ
45.乾杯
回復した船長と、新たな仲間に加わったウニが甲板にいることを知って、残りのクルーたちは酒と食べ物を持って集まってきた。
「ささやかですけど、船長の快気祝いと、ウニの歓迎をと思って」
許可を求めるようにペンギンは言った。ローはただ「ああ」と頷いて了承する。
「俺のときはなかったのに……」
宴の支度で人一倍働いたゴンザのつぶやきは恨みがましい。
気まずいのでみんなは聞こえなかったふりをした。
「俺のときだって……」
「お前は密航だろ」
同調するマリオンにローは呆れて指摘した。
「そもそも無人島生活はどうした」
「大噴火して島が割れちゃったのにどうやってそこで生きていけと!?」
「根性見せるんじゃなかったのか」
「見せる相手いないでしょうが! あんたちゃん置いてく気ないくせに!」
「当たり前だろ」
俺のだと言わんばかりに、ローは自分に抱きついてくるを独り占めした。
「キャプテンいいな~、俺もを抱っこしたい」
「…………ああ」
ちょっと長い沈黙のすえ、ローはベポにを譲った。
を受け取ったベポはガルチューと言いながら頬ずりする。にセクハラする唯一の方法に、みんな自分もクマに生まれるべきだったと後悔した。
「んん……キャプテン着ぐるみ替えたの? 豚さん?」
「替えてねぇよ。どこかのシロクマと一緒にするな」
憮然と否定して酒を飲むローとは対象的に、ベポは「起きる? 宴だよー!」と上機嫌だ。
「宴?」