第5章 密航者
しどろもどろのよくわからない説明をペンギンは困った顔でし続ける。はとても眠そうだった。
「寝ちゃまずいよ。キャプテンが怖い顔してる」
ヒソヒソとクッション代わりのベポが忠告した。贅肉でを窒息させかけたことを忘れたみたいに、相変わらずたぷんたぷんの腹をしている。船の燃料が尽きたら、ベポを絞ろう。そこそこいい量の油が出るはずだ。
「つまり、キャプテンは悪魔の実の能力者で、グランドラインにはキャプテンみたいな能力者がいっぱいいるんだよ」
「うん」
眠そうには応じた。話は終わったからもう寝てもいい?とばかりに、ベポに抱きつく。当のベポはさっさと鼻提灯を浮かべていた。
「起きろ。テストするぞ」
「えー!」
おぞましい単語には飛び起きた。
「ペンギンの説明よく聞いてたらわかっただろ」
「よく聞いてたけどわからなかった」
は力説したが、かまわずローはテストを始めた。
「間違えたら点滴だからな」
「針は嫌!」
「ならよく考えろ。悪魔の実は?」
「まずい果物」
「……俺は?」
「ハートの海賊団の船長? あ、お医者さん?」
黙るローに焦って、「詐欺師?」とは不安そうに言い出した。
頭を抱えて、ローは深々とため息をつく。
無能教師のペンギンが提案した。
「能力の説明ならやって見せたほうが早いんじゃないですか」
「見れねぇだろは……」
一度を解体したこともあるが、それでもこうなのだ。どうしろと。
「そうだ、あれは? 人格の移植手術!」
提案したのはシャチだった。マリオンが首を傾げる。
「なにそれ?」
「ふっふっふっ、聞いてびっくり、見てびっくり、なんと人間の中身を入れ替えちゃうことができるんだぜ!」
「……猟奇的な意味で?」
「違うっつーの! いわば俺がの体に入って、の体を好きに――」
「それ以上言うならまたカメと入れ替えるぞ」
「ごめんなさい!!」
トラウマが蘇ったのか、シャチは土下座せんばかりにそれだけはご勘弁をと言い出した。