第2章 No.9
(ん?隣にいるのは……)
アルビノとは全く真逆の外見の子供が、ちょうど真隣にいた。
黒髪に黒い目を持っている。顔立ちから東洋人のような雰囲気を感じる。
ホルマジオはページをめくる。
(いたぜ。No.9。最後のガキ。ジャポネーゼ?金額は書いてねェな)
裏返してみても、白紙だ。子供は黒いが。
(並んでるせいで、あっちの方はあんま映えねェ~な~)
リストを脇に挟んで、両手の人差し指と親指を立てて四角を作って、写真のフレームのように形作る。
そのフレームを子供2人に当ててみる。
(や~っぱり美女と野獣だな。黒い方は前髪長くて目見えねェから、根暗に見えるぜ。それに……)
アルビノの子を含めて他の子供は修道院らしく、神聖な白くて裾の長い洗礼服を着ているが、日本人の子は違う。
赤いレインコートに、オレンジと黒のラインが入ったマフラーを付けていた。
(何で他の奴らと服装が違ェんだ?雨なんか降ってたか?)
手のひらを上にしたが、やはり降っていない。
(それに、白の逆の血の色のような赤だな)
ホルマジオは手を下ろして、視界が広くなり、あることに気づいた。
(ん?)
2人は手をつないでいた。
ホルマジオは、子供を一列に並ばせ先頭に立ち、次々に大きな建物の中へ入れた。
ホルマジオとギアッチョが誘拐犯を帯び寄せる場所として選んだのは、ここボローニャにある、元は病院の廃墟だった。
人が全くいない上、誰も好んで近付いてこない。
周りに違う建造物はなく、電波が遠いため、車のラジオもブレブレだ。
構造は5階建てで、シダ植物が建物の外側を覆っている。
入り口の扉にもびっしり覆われ、ある意味味わいのある様式になっている。
「これからお前たちには上の階で、大人しくしてもらうぜ。大事なことだから何度でも言うぜ。
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大人しくしてろよ。大人しくな。もう一回言うか?」
一回しか言わないのではなく、繰り返し聞かせることで覚えてもらう。教育者としては良いことだ。
しかし、彼は暗殺者である。