第2章 No.9
人数は7…8…いや9人で男女半々。全員10過ぎくらいの歳だ。
ギアッチョは、運転席にあった子供のリストを持ってきた。
プロシュートはそれを一通り目を通すと、ホルマジオに渡した。
「奴らが喉から手が出るほど欲しがるわけだ」
ホルマジオも見ると、ある子供の写真が目に飛び込んだ。その下にはこう綴られていた。
『No.8 少女
特長:アルビノ体質
価格見込:1億400万リラ』
「い…1億リラッ!?」
あまりの衝撃的な数値に、リストを落とす。日本円で、670万円ほどの大金だ。
※アルビノとは、遺伝子の異常により発現する個体の一種。
白い肌に白い髪が特徴。その美しさから、昔から神聖な力を持つと畏怖されてきた。
その者の体の一部を持つと、神秘的なパワーが手に入るなどのデマにより、誘拐や殺害される事件も少なくない。
「ま、マジかよ…」
たった子供一人で、普段の報酬より上額が手に入る。
ちょうど子供たちの群れの真ん中あたりで怯えていた。
リストに書いてある通り、白い髪と白い瞳を持った神秘的な見た目だ。
周りの子供も同じように莫大な値を付けられているのに、そのあまりの美しさに、周りが平凡に見えてしまう。
しかも状況が状況なだけに、混乱して弱々しくなっているから、余計愛くるしく見えてしまう気もする。
リストの額とアルビノの子を何度も往復する。
(アイツか。確かに結構かわいいなりじゃあねェか。将来が楽しみだな)
胸が高まってつい不敵な笑みをこぼした。
「変な趣味に堕ちるなよ」
イルーゾォはホルマジオの考えを見通して、嘲笑いながらも忠告した。
「ケッ。ガキに欲情するほど落ちぶれちゃいねェし、そんな欲求不満じゃあねェよ」
まあでも確かに、大きくなったら、美人になりそうな素材だな。あくまでほめ言葉の話だぜ。