第2章 侵入者
「おいおい俺たちの車じゃあねぇとはいえ、物に当たるのはよくねぇぜ。そのキレる癖を少しは直せとリゾットも言っていただろ」
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「なら物じゃあなきゃいいのか?」
ギアッチョは拳を止めて、それをホルマジオに向ける。
「……その拳は信頼を壊すためじゃあなく、深めるためにあるべきだぜ」
ホルマジオは拳と笑顔を向けて、ギアッチョとグータッチをする。
ギアッチョは「ハンッ!」と言い捨たが、怒りは吹っ切れたようだ。
再び運転に集中する。
そして10分後、車はある廃墟に止まった。
そこは元病院だったらしい施設で、かなり薄汚い。
誰も住んでないし、好き好んで近寄ってもこない場所。
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真昼に暗殺するには絶好の場所で、誰も気付かないだろう。
本来、暗殺というのは、ターゲットについてもっと事前に下調べを重ねて、確実に殺すために夜に行うのがセオリーだ。
しかし、どうしてもすぐに殺さなければいけないくらいの緊急依頼だったため、選んだ場所がここだった。
ギアッチョはサイドブレーキをかけた。
「おいホルマジオ。俺が運転したからてめーが様子見てこい」
親指でトラックの後ろの荷台を指した。
「しょ~がねえ~なぁ~っ」
トラックから降りて、後ろの大きな荷台の扉を開けると、陽の光が、“その中身”を照らした。
『!!』
「よぉ。お目覚めの時間だぜ」
そこに積まれていたのは荷物なんかじゃあなかった。
恐怖に震え死んだような目をした少年少女。
実はこのトラックは、その誘拐犯たちが使っていたものだった…