第2章 侵入者
「…なぁ~、随分ひでえ話じゃねーか?ギアッチョ」
「うっせーぞホルマジオ。運転中話しかけるなクソが」
午前8時頃。
突き刺さるような日差しが、トスカーナの田舎道をひたすら走る1台のトラックを照らす。
ホルマジオはその助手席で足を前にかけてくつろいでいた。
あくびをしながら手元の資料をマジマジ読む。
明らかに寝不足状態でいた。
(あ〜あ、ここぁグラッパでも一杯ひっかけたかったとこだったがよォ)
しかし、そんな時間の余裕も無いくらいの緊急招集だったため、あくびだけでなくため息も漏らしてしまう。
「けェ~、俺たち暗殺チームが言っちゃしまいだが、子供目当ての犯行なのに、こんな容赦なく大人も殺すとはねえ」
「だからッ運転中だってんだろッ!てめーの能力でおつむも聴力も小さくなってんのか?!」
キキィッ!
「うおっ!」
ギアッチョ曲がり角をわざと荒く曲がって、ホルマジオを黙らせる。
ザザー…ガザザッ…ピッ……ガーッ
「くそッ!何でよォ?この車のラジオはこんな電波の入りが悪ぃんだよォ!?ポンコツ電機!」
ガンッ!ガァンッ!
ギアッチョはハンドルを握ってない方の手で、ラジオを殴る。
朝ラジオの軽快なメロディでもかけたいところだが、いくらチャンネルを変えても、流れるのは不快な砂嵐音だけ。
「まあ落ち着けギアッチョ。ここはトスカーナでも、さらに奥地のド田舎だ。しょうがねえじゃあねえか」
宥めるホルマジオとイライラが募るギアッチョとさらに壊れていくラジオ。
(ハァ〜、全く。どうしてこうなったんやら)
ホルマジオは再び資料に目を通す。
組織の情報部から送られた依頼の全容が書かれいる。
そこには、殺害現場とされる写真が添付されていた。
銃殺されたシスター達の死体の写真だ。
全員で4,5人ほどで、女相手にえげつないくらい、弾丸が撃ち込まれている。
まさに蜂の巣のよう凄まじい姿だ。
(しかもよりによって、神とやら信じて人を救済へと導くシスター様をなァ……)
ガァン!ガン!
そしてギアッチョはラジオを蜂の巣にするような勢いで未だに叩き続けている。
今運転している車のスピードくらいの気性の荒さだ。