第3章 お前は誰だ?
(……え?え、遠赤外線…?)
全員は、リゾットが言ったことにピンとこなかった。
「どういうことなんだ?わかりやすい説明を頼むぜリーダー」
ホルマジオが自分の頭をくしゃくしゃ掻いて聞いた。
「以前、本で読んだことがある。電磁波は1つだけじゃなく、様々な種類がある。あの高周波もその1つだ。瞬間移動ができるのなら、高周波以外の他の能力が使えたとしてもおかしくない」
“赤外線”。人の目では見えない光であり、対象物に熱を与える性質を持つ。
電子レンジやヒーターなど、日常生活のあらゆる道具に応用され使われる。
そしてそれは温度を持つ物体、
・・・・
人間の体からも微量だが放射される。“遠赤外線”と呼ばれるものだ。
子供はそれを感知したことで、姿が見えないリゾットの位置がすぐに分かった。
暗闇でも人間の動きを録画する事ができる赤外線カメラと同じことを、この子供はできる。
スタンド能力が手元にある今とあの時だからこそ、透明化したリゾットが分かった。
そして逆に、イルーゾォにスタンドを切り離された時は分からず、リゾットに背後を許して眠らされ、こうして捕まっている。
(俺のスタンド“メタリカ”は、磁力を操作して攻撃や防御に使うスタンドだ。そしてこの子供のスタンドは、その磁力の波を利用して、攻撃や瞬間移動ができる)
7年前、スタンドを発現して組織に入ったばかりの時、『メタリカ』の能力を見極めるために調べておいたのが、まさか今回役に立つとはな。
リゾットの理科の授業を聞き終え、ホルマジオはとても感心して、何度も納得の頷きをしていた。
(な~るほどな。リゾットが磁力操作して、磁力の波が乱されてスタンドが使えなくなるっつーことか?)
もしそうなら、とんだ最悪の相性だぜ。
ホルマジオは子供を見下した。
子供は、能力を暴かれたことで、明らかに悔しそうな顔をして、リゾットを見上げている。
言葉が無くても分かるくらい、悔しそうでそれが面白い。