第3章 お前は誰だ?
気付いたときには遅かった。メーラは自分の甘さを呪った。
いや、相手が本当に悪すぎた。スタンド能力の相性だけでなく、それ以外の実力でさえも。
(目隠しされていて、
・・・・・・・
気付かなかった。まさか…あの柱のそばには……)
「百聞は一見にしかずだな」
プロシュートが目隠しの布を取ると、子供は目をゆっくり開けた。
「!」
メーラはゆっくりと目を開けたが、柱のそばには、誰もいなかった。
(い、いない…!)
『やはり……俺の姿は“見えていた”ということか…さっきと同じだな』
柱の方から突如声が聞こえた。
すると、白い塗装の一部が段々と黒くなり、それは柱からはみ出て次第に広がっていった。
ドドドドドド
現れたのは、黒い服を着た背丈が高い男。
病院の4階で出会ったばかりだから、見覚えがあった。
ザッ
柱のそばから子供の前までゆっくり足を進める。
「お前に話しかけるのは、これで3度目だな」
暗殺チームのリーダー。リゾット・ネエロだった。
『メタリカ』のスタンド能力で、柱と外の風景と同化することで、姿を消していた。
リゾットが姿を消して隠れるは暗殺チームのメンバーは知っていたが、“どこにいるか”までは知らなかった。
そしてなぜか子供は、“それ”を見破っていた。
さっき試しに左右に動いてみたら、子供はそれを目で追っていた。
今までの暗殺で、身を隠すのに使ってきたこの透過能力を見破られたのは、今回が初めてだった。
暗殺チームの誰もがその事実にたまげたが、リゾットは違った。
廊下でホルマジオと挟み撃ちにして捕まえようとしたとき、メーラは目の前に迫ってきたホルマジオではなく、遠くで姿を隠していたリゾットに向けて発砲した。
それは、リゾットの射程距離の中に入らないよう足止めをするため。
そしてそもそも、なぜ見えないリゾットの場所が分かったのか。
リゾットはすでに、その真実に到着していた。
「いくつあるかは分からないが、今のでお前の能力の1つが、はっきり分かった。お前…
電磁波の一種の“赤外線”を
・・・・・・・・
目ではなく能力で見ることができるな」