第3章 お前は誰だ?
「り、リーダーよォ。そろそろ教えてくんねェか?何でこのガキが、透明だったアンタを見抜けたかをよォ。答え合わせが欲しいぜ」
「……ああ。そうだな。俺が確認したいのはそれもある。イルーゾォ、頼む」
「……ああ。分かったよ。アンタを信じるぜ」
イルーゾォはマン・イン・ザ・ミラーで、子供のスタンドが入るのを許可した。
予想通り、特に何も変化はなかった。
「よし。まずは___」
メーラは目を覚ました。
手首あたりに鋭い痛みが走って、起こされた。
(暗い。目隠しされているのか……手首に冷たい感覚がある。氷で固定されているってわけか)
肌で風を感じる。つまり屋内ではなくここは外だ。
視覚はなくとも冷静さを失わず、限られた知覚で情報を集める。
つまり捕まってしまったのだと、すぐに理解した。
(あれ…スタンドが…)
現実世界と引き離されたはずの自分のスタンドが、手元にある。
私が現実世界に戻されたのか、それとも、スタンドが鏡の中の世界に入るのを、許可されたのか……?
「「助けてくれ」とは叫ばねえのか?ガキィ?」
(!)
突如聞こえた声に、ぴんときた。あの廃墟で会った男達の中の1人の声だ。
確か、物を小さくするスタンド使い。名は…そうだ…ホルマジオだ。
メーラはスタンドを出さず、殺される覚悟でじっとしていた。
「本当は目ん玉をえぐるつもりだったが、リーダーのおかげで失明せずに済んだな。ありがたく思えよ」
「……」
シ~ン
ホルマジオはメーラの目の前でしゃがみ、ヤンキー座りをして、頭をがしがし掻く。
「ハァ~、仕事明けで酒でも飲みてえっていうのに、仕事を増やすんじゃあねェよ。おまえをこれから“拷問する仕事”をよォ…」
「……」
シ~~ン
「俺が入っている組織はあいにく時給制じゃあねえんだ?言っていること分かるか?どんなに残業したって、残業手当て入ってこねえんだよ!」
「……」
シ~~~ン
ホルマジオは社会人らしく、この世は決して等価のギブアンドテークで成り立っているわけではないと説法を説く。
だが、相変わらず子供は無口である。