第3章 お前は誰だ?
「それももっともな疑問だが、後で話そう。それで俺は、あの時の“距離”を思い出した」
距離?
全員が首を傾げた。
「あの時、俺とコイツの間には、
・・・・・
10m以上の間隔があった。それ以上俺が近付かないよう、銃をぶっ放して、道を塞いだ。なぜだか分かるか?」
10m?10mって……!!
ホルマジオが一番早くに声を上げる。
「アンタの能力の射程距離じゃあねェかよォ!!」
メタリカの能力の射程距離は、2~10mでその範囲内の鉄分を操作して、攻撃や防御などが可能になる。
そして磁力操作をしていることで、電波障害を引き起こすことだってあり得る。
実際、リゾットは今までの任務の中でそういった経験をしたことがあった。
暗殺対象の人間がしていた左手首の電波時計が狂っていたり、電子レンジの中の物が急に爆発したり。
そして、殺害した場所の近くにあったラジオの雑音が酷くなっていたこともあった。
(コイツは…4階を通る時、俺のメタリカの射程距離に入ったことで、瞬間移動の能力が強制的に解除された。もしそうなら相当焦っただろうな。だから俺を一番警戒していたんだ)
そして途中で現れたホルマジオによって、子供全員を逃がしたことがバレ、白い子供と一秒でも早く逃げることを選んだ。
ホルマジオと挟み撃ちにしたが、メタリカの射程距離外で能力が使えるようにするために、見えない俺を狙って撃った。
そう考えれば、コイツの能力は電磁波を利用するものだと見て、間違いないだろう。
(しかし問題なのが、まだ誰もそのスタンドの
・・・
実体を見ていないというところだな……)
プロシュートから聞いた話によると、拳のような物が見えて、防御されたとは聞いた。
『グレイト・フル・デッド』の力を振り解くほどの力となると、近距離パワー型か?
しかし、電波を通じて遠距離を移動できるとなると、違うタイプか?タイプがはっきりしないな。
チームの皆も、未知数なスタンド使い相手に、やはり不審感を抱いている。
しかも相手は子供の姿をしている。
(恐怖とは理解できない物へ抱く感情だ。しかし理解さえすれば克服できる。俺たちはこの子供の能力を理解して、不安を拭う必要がある)
リゾットはどうしても知らなくてはならなかった。
突然現れたこの子供のスタンドの真の姿を。