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狼と赤い果実《ジョジョの奇妙な冒険》

第2章 No.9



意識がどんどん薄くなる。布に麻酔薬でも仕込まれているんだ。

(か、体が……)

最後の力を振り絞り、レインコートのポケットから、例の手榴弾を取り出した。

しかしリゾットはそれを取り上げることなく、静かに言った。

「やってみろ。お前に俺は殺せない」

「……」

ガクリッ

睡眠薬が完全に効き、メーラは意識と手榴弾を手放した。

リゾットは素早い反射神経で、金魚すくいのようにキャッチし、子供を抱き抱えた。

(念のために用意しておいたクロロホルムが、まさか役に立つとはな…)


「流石は俺たちのリーダーだぜ。リゾットさんよぉ」

一部始終を陰から見ていたイルーゾォが、廊下の窓から飛び降りてきた。

「あの子供をあえて放置して行動を見たのは、ソイツの能力の正体とやらを暴くためだったのか」

イルーゾォはさっき、手榴弾で一触即発の場面で、後ろから肩をたたかれた。

『!』

『…放ってみろ…』

透明化したリゾットが小声で指示し、子供の拘束を解いて、あえて行かせた。

「……で、そのガキ、どう拷問する?ずっと無口で案外、骨が折れそうだぜェ?今もある意味無口だが」

イルーゾォはリゾットに抱き抱えられている黒い子供を指さす。

先ほどの緊張感が嘘のように、スヤスヤ眠っている。

「未だに信じられねェな。ソイツ、一体何者なんだ?」

「……取り合えず皆と合流する。話はそれからだ」

ビービー泣いていた白い子とはまるで正反対。

子供とは思えない抜け目なさに、類を見ないスタンド能力。明らかに異質な存在。

今回の任務、どうやらここで終わりにはできないらしいと、リゾットはこれから起こる波乱を予感していた。

「……そうだな。じゃあ行こうぜ。皆も俺の世界に招待して、作戦会議といこうぜ」

イルーゾォは前向きに振る舞っていたが心の中で、ある疑念を抱いていた。

リゾットは子供に対して、
・・・・・・・・・・・・・・・・
一度もメタリカで攻撃をしなかった。

任務を妨害する者には容赦ないのに、
・・・・・・・
らしくなかった。

(まさか、な……)

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