第2章 No.9
(確か
・・・・・・・・・
無線で聞いた話では、ホルマジオとかいう男はスタンド能力で車を小さくして、こうして嬲り殺しにしたらしい。そしてその廃車の中に、
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使えるものがあれば……)
わずかな望みをかけて探し回ったら、電源ライトが僅かに点滅しているのを見つけた。
ギギィ…
回してみると、ニュースが流れた。
『ガーザザザー…ピーー……そ…れ……は、明日から……ベネツィアは……晴れ…』
音質はヒドいが、天気予報らしい。
・・
(電波は微かに通っている。よかった、取りあえずベネツィアへ……)
カバッ!
突如、口元に白い布が張り付き、そして体が宙に浮いた。
「!」
口元の布をはぎ取ろうとしたが、違う何かに触れた。
人肌の温度で、布よりも大きく固くゴツゴツとしていた。
(これは……人の手?!)
抵抗する力を出したが、全く歯が立たない。
背後から
・・・
誰かに抑えつけられているような感覚に陥る。
(ま、さか…!!)
・・・
「やはり、お前の能力…
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ラジオを媒体にする能力か…」
スゥ
リゾットがスタンド能力を解除して、姿を現した。
メタリカで姿を隠して、背後からメーラを捕まえた。
いともたやすく子供を持ち上げて、体の自由を奪う。
(なぜ、なんで、ここにいる…?!)
まさか、
・・・
すでにこの鏡の中にいたのか…?!
あの鏡のスタンド使いが、
・・
予め、この男を鏡の中に入れておいたのか…!
口元を抑える大きな腕を引き剥がそうともがいても、やはり子供が大の大人に勝てるわけがなかった。
「お前のスタンドは今、イルーゾォの能力によって、
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外の世界にいる。だからさっきとは違い、
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俺の居場所が分からなかった。
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スタンドで透過した俺を、能力で見ることが
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できなかったというわけだ」
そんな説明など耳に入らず、何とか逃れようとしても、動けば動くほど体が麻痺していく感覚に陥る。