第2章 No.9
「な!何ィッ~!!!」
まさか、本当に隠し持っていやがったのか?!そ、そんな、物を…!
緩んだ隙にメーラはイルーゾォの拘束を解いて、距離を置く。
(まさか、さっき生身で無謀で挑んできたのも、銃口を俺に向けたのは、
・・・
わざと俺の注意を向かせるためか?)
銃のプロフェッショナルなら、弾切れかどうかは、重さで分かる。
もしガキが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
元々知っていた上で俺に向けていたのなら、それは、俺の注意をあの白いガキから遠ざけるため…?!
(だがそもそも俺が一瞬でも目を反らして、トロいガキを気にかければ、その隙をついて何かされるかもしれねェ。無意識の恐怖で、アルビノの子供のことなどすっかり忘れていた…!!)
トロい方よりも抜け目ない方を警戒して、先に鏡の世界に引きずり込んだ。
これはリゾットの指示でもあり、紛れもなく正しい判断だった。
しかし、その後に続いて白い子供を引きずり込むには、子供が鏡の中のイルーゾォの姿を見なくてはいけない。
立て続けに引きずり込むには時間がかかり、日本人の子供はその隙を狙って何か攻撃してくるかもしれない。
スタンド使いであることを隠し、潜り込んできたくらいだから、まだ何か隠しているかもしれないから。
メーラはピンの丸い輪っかに人差し指をかけていた。
“少しでも動けば引く”
無言でそう言われている気がする。目を見れば分かる。
もし無闇に取り上げれば、ここがさらに廃墟になる。
「くっ…コイツ…!!」
『おォい!どうした!!何があったんだイルーゾォ!』
鏡の外からギアッチョが声を荒げた。外からでは状況が分からない。
(ど、どうする……!マン・イン・ザ・ミラーで取り上げるにも、ガキが子供の力でちょいと指を動かされれば、ここは吹っ飛ぶ!)
ガキが自爆すれば情報を吐かせなくなる。それもマズい!
ギアッチョを今鏡の中に入れれば、巻き添えだ。
『…放ってみろ…』
「!」
イルーゾォはゆっくりと両手を上げた。
「あー、わーったよ。暗殺されんのはごめんだ」
「?」