第2章 No.9
『おいイルーゾォ!!いるか…?!どこにいる…!!』
「!」
鏡の外の現実世界から、聞き覚えのある怒ったような声が響く。
鏡越しで確認したら、ギアッチョだった。
「ギアッチョ!ここにいるぞォ!」
鏡を通してお互いコンタクトを取る。
「今、例の日本人ガキを抑えて拷問しているところだ」
「そうかよォォ……あんまり痛めつけるなよォ。
・・・・・・・・
俺のお仕置きの分も残しておけよ」
かつて承太郎が言ったセリフと似たようなことを言った。
しかしギアッチョは全く笑っていなく、ドスの利いたハスキー声で、額には血管が浮いていた。
(ヤベェ……ギアッチョの奴。いつも以上にキレてやがる……)
イルーゾォは内心、引いていた。ただ気持ちは分かる。
今回の任務の関係者を逃したのなれば、リゾットの立場が危ぶまれるかもしれないからだ。
いくら子供といえど、もし誰かに今回起きたことをバラせば、パッショーネが裏で暗躍していることが明るみになってしまう。
ギアッチョの分のケーキも残さず食べてしまい、キレられたことはあるが、今回はそれだけでは済まされなさそうだ。
(ギアッチョが来たのであれば、俺と同じように
・・・・・
リゾットに起こしてもらったんだな。なら他の奴らももうすぐ来るはずだ)
あ!そうだ。アルビノの女のこと、忘れてたぜ。
イルーゾォは携帯を使うようにガラスの破片を通じて、ギアッチョに話しかけた。
「おい。白いガキがそこらへんにいないか?」
「あぁ?そこらへんって
・・・・・・・・・
どこらへんのことを言ってんだァ…?具体的に言えや。抽象的な言葉は嫌いだぜ」
イルーゾォは青ざめた。
(まさか…!)
鏡を傾けて、外の世界の周囲を見渡した。
美しい真っ白な姿の特徴的な子供の影が、どこにもない。
「お前、まさか…スタンドを使って、逃がして……!」
日本人の子供は口元を歪ませていた。
やられたらやり返す。さっきイルーゾォが嘲笑っていたように、同じことをやっていた。
手には、手榴弾を持っていた。