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狼と赤い果実《ジョジョの奇妙な冒険》

第2章 No.9



「メーラー!メーラー!!どこなの…?メーラ……」

窓ガラスの反射面に写る現実世界では、レイチェルが両手を目元に当てて、泣いていた。

イルーゾォはその光景の前に、バラエティ番組を見るようにケラケラと笑う。

「ハハハッ。お前とは、色だけでなく、性格も真逆らしいな?だが、お前のようなスタンドのガキが、異常だな」

上に乗られてあざ笑われている中、メーラは悔しさなど一切感じておらず、別の感情で頭が一杯になっていた。

(バカな……私の“レディオヘッド”の能力で、脳を一時的に麻痺させた。しばらくは目を覚まさないはずだ…!なのに……)

5階で気絶させたのに、起き上がれるはずがない。

「まさかてめェみたいなガキに一本取られるとはなァ。起こされなきゃ、少しヤバかったかもな」

(何?)
・・・・・
起こされた?受動形?つまり、誰かがコイツを起こしたのか?

そして、先ほどかけられた言葉を思い出す。
 
『ゲロさせろって
・・・・・・
言われてなぁ』

(指示をされた。つまり上の人間、リーダーか……まさか、やはりあの男が…!)


イルーゾォは未だに頭がぼーっとして、本調子ではなかったが、子供にされた屈辱を思うと憤りを感じ、不思議と体が動く。

そういった負の感情は自分の心を強くし、スタンドパワーへの強さにも比例する。

イルーゾォはよっこいしょとゆっくりと立ち上がり、子供を見下ろし、笑顔を見せた。

ニタァ

(?)

疑問に思う子供に対し、イルーゾォは不敵な笑みをこぼす。

ドゴンッ!

マン・イン・ザ・ミラーで、子供のお腹へ不意打ちで蹴りを入れた。

かなり強めで、子供の体が吹っ飛び、廊下の突き当たりに叩きつけられる。

(!)

衝撃で口から血を吐き、休む暇も与えられず、イルーゾォは子供が着ているレインコートの胸ぐらを掴んで持ち上げる。

「まだ休むなよ?お前がスタンドを使ってガキ共を匿ってんのは、とっくに分かってんだ。どこに隠した?お前の目的は何だ?」

「……」

しかし子供は一言も喋らない。

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