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狼と赤い果実《ジョジョの奇妙な冒険》

第2章 No.9



ポタ…ポタ…

涙ではなく、耳から流れ出た血が静かに床に落ちた。

痛くて顔を歪ませているではなく、ただ悲しそうな顔をしていた。

俺は耳の出血よりもその表情に目がいった。

俺たちの目を盗んで子供全員を攫って、結果俺たち暗殺チームに喧嘩を売った。

それはつまり、パッショーネへの挑戦を意味する。もう生きれる保証はない。

そんなことする奴が、何のためにそんな顔をしているのか?

つんざく高周波が鳴り響いている中、たかが子供相手に質問した。

「おまえ…一体、何者だ?」

「……」

だがその問いに答えることはなく、光のような速さで部屋を出ていった。

バン!

入れ替わるように別の人間が別の部屋のドアを開けた。

それは、同じチームの…

「!」


廊下では、

タッタッタッ

メーラは息を切らせて、2階のある個室に着いた。

そこには、アルビノの子が待っていた。メーラに指示されてずっと隠れていたのだ。

すぐさま安堵の表情に変わる。

「無事でよかっ…!」

バッ!

子供はアルビノの子の口をすぐ抑え、近くに人がいないか確認してから手を離した。

「ああ…ごめん」

“解除”

フォン…

高周波は解除され、アルビノの子はヘッドフォンを外す。

メーラはまだ出血する耳を抑えながら、窓を開けて用心深く外を確認した。

「血が出てる!大丈…」

ペチッ

心配して手を伸ばしたが、振り払われた。

「ご、ごめん…」

窓の外に顔を出して、空の上に昇っている太陽を見上げた。

位置からして9時半過ぎ頃だ。未来は待ってくれない。

「ねえ…もしまた捕まったら、ただで済むわけがないよ」

““……””

「あ、アナタが一番よく分かっているはず…シスターたちみたいに殺されるかもしれないんだよ…誘拐犯はいなくなったけど…修道院にももう戻れない…」

不安げに淡々と言葉を並べる。それでもメーラはそれに返答することはできなかった。

この状況、励ましの言葉なんてものは単に現実から目を背けるだけのまやかしだからだ。


“”そうだね。もう後戻りは出来ない。だから先に進むんだ。私も、君もな。レイチェル””


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