第2章 No.9
3階の病室では、
キィィィンッ!!
プロシュートでさえ立つのが困難になっていた。
(だんだん…分かってきた…!)
電子機器を使う。この高周波。やはりコイツ……は、電気かそれに似た何かを操る能力!
イルーゾォも恐らく、この高周波にやられた。上の階にいるリゾットも多分俺と同じ状況か。
プロシュートは仲間の実力を信じてるからこそ、あえてそれ以上は考えない。
今自分がすべきことは、仲間を気にかけることではないからだ。
思考もままならなくなっていき、ホルマジオはイルーゾォと同じく気絶して倒れている。
だが、プロシュートはグレイトフル・デッドを解除しないよう意識を保った。
どんな状況下でも、決してスタンド能力を解除しない。
ドドドドド
(のろい白い方はあとでいい。コイツにスタンドを直に叩き込めば…)
つんざく音がまだ鳴り響く中、片手で耳を抑えてスタンドの拳を振りかざした。
グワンッ!
拳を放ったが、黒髪の子供が再び違う拳を発現させて、ガードした。
ガシッ!
(やはりまたガードするか!だが甘ェ!)
手首を巧みに回して、そのガードしている拳を今度は逆に掴んだ。
グレイトフル・デッドが直触りすれば、相手はすぐに老化する。
「掴んだ!これでお前は再起不能だ!」
しかし、子供は
・・・・・・・
老化しなかった。強く掴みなおしても、子供の肌は子供のままだ。
(何ィッ!?何故、老化しねェ?!確かにこの手で掴んでいる、はずだぜ)
こんな騒音だらけの環境では、その方法が勘付けない。
子供はスタンドの手を振り払った。
ガタッ
プロシュートはついに膝が地面に着いた。
(このガキ。さっきから全く動かねえが、そんなに俺がいい見物か?)
どんなツラで俺の情けねえ姿を見ているんだ?
顔を上げて、子供の顔を見た。
「!」
しかしそれは、予想とは全く違った。
あざ笑ったり哀れんではなかった。ただ奴は…
血が流れ出る片耳を抑えて、悲しげな表情を浮かべていた。
まるで泣いているようだった。