第2章 No.9
「それはつまり、誰かが付けたってことか?それとあのガキと何の関係がある?」
「…この通信機、まだ体温が残っている。
・・・・
今さっきまで誰かが触ったってことだ」
さっき説明した通り、誘拐犯はこの階で老化していたからそんな余裕はない。
誰もこんなガラクタ、見つけたところで放置するか一回拾ったとしてもまた戻すくらいしかしない。
わざわざ電源を付けてほっぽって置くなんて、普通しない。
「そしてこの熱さからして、あの黒いガキが触ったと見て間違いねえ」
手の平で感じた体温は自分のよりも熱かった。
子供は大人よりも体温が上がりやすいと言われるが、これは明らかに運動後のような熱さだった。
疲れていた分、体温が上がった奴しか考えられない。
「何であんなガキがこんな物を部屋から持ち込む必要があると思う?俺が考えられるのは、
“能力が使える条件を満たすため”だ」
『!』
不自然に点いてある電源に置いてあった機器。
病院用電子機器はここ2階にしか置いてなく、殆どは壊れている。
これらの状況証拠から、プロシュートは1つの推測をたてた。
「つまり奴の能力は、“電源のついた電子機器”を目印に、瞬間的に移動する能力ってこった!!」
“ザ・グレイトフル・デッド”
「!」
言い切ったと同時に、プロシュートは自身のスタンドの老化させるガスをまた2階全体に撒き散らした。
「おいおい!そこまでやるか?相手は10にも満たねえガキ共だぜ…」
「てめえも言っただろ!油断するなってな。さっき拳を合わせたときに確信した。アイツの能力には、まだ何か隠し玉がある。あれはもうただのガキじゃねえ」
ホルマジオは急いでギアッチョの氷で体を冷やした。
「あの白い方のガキを死なせることを心配してんのか?どっちみちこのままだと、黒いガキに持って行かれるぞ」
「…よく考えたら確かにそうだな」
プロシュートのずば抜けた推理力やに、ホルマジオはさすがだと思った。
プロシュートと同様に賢いはずだが、金に目がくらんでいたと反省した。
推理を聞き終えたギアッチョには思い当たる節があった。
「そうだ…その1分の間、俺は外の車の中にいた。今車内の無線機は
・・・・・
切れている。推理が正しければ、ガキが直接外に出なかったことも納得できる」
推理が段々と確信へと変わっていった。