第2章 No.9
しかし弾丸は全て地面に放たれていた。めり込んで亀裂が入っている。
リゾットは透明になる能力を解除して、姿を現した。撃たれた地面のところの
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ちょうど真ん前にいた。
(何ィ…?!明らかに、
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狙って撃った、この子供…!透明になった俺が近付くことに気付き、それ以上距離を詰められないよう、道を塞ぐために撃ったのか!)
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なぜ見えない俺の位置が分かった?
リゾットのスタンド『メタリカ』は、磁力を操る能力。
磁力を操るということは、鉄分を操るのと同じ。その鉄分を鎧のように身にまとうことで、透明になれるのだ。
それを見破ることは不可能だ。リゾットは暗殺のプロフェッショナルだ。足音や物音一つも出さない。
だからこそ、見えるわけがない。もし見破れるとするなら、“ある可能性”が浮上してくる。
(この子供。まさか…俺たちと同じ……!)
「ッ!リトル・フィートォッ!!」
ホルマジオは先手必勝を狙う。
不意打ちで捕まえる作戦は失敗した。なら、トロそうなアルビノの子を先に捕まえるのが良策だ。
テストの問題用紙も、先に簡単な問題から取りかかり、解くにつれて難易度の高い問題に挑戦するのが定石。
スライムから倒していき、レベルアップして最後に魔王を倒すドラクエと同じ原理だ。
その方が合理的で、楽しい。
リトル・フィートの指についている刃が少しでも傷を付ければ、その者は徐々に縮んでいく。
ありんこにすれば虫取りに時間もかからずに済む。
「待てホルマジオ!!無闇にスタンドを出すんじゃあないッ!」
リゾットは手を伸ばして声を張る。
しかし、リトル・フィートがアルビノの子供を傷付けるよりも、日本人の子が彼女を肩に抱き上げる方が早かった。
「キャッ!」
抱き上げたことで刃の攻撃をかわした。
「何ッ?!」
子供はそばの窓の薄汚れたカーテンをバッと開けた。
「逃げる気か!?」
子供は窓に乗り出した…のではなく、カーテンを引きちぎって、それを使ってホルマジオから一瞬だけ身を隠した。