第2章 No.9
「鬼ごっこなんざ無駄な遊びはやめにしようぜ!大人になってくと、そーいう遊びは忘れてくるもんでな。もっと大人の遊びを好むようになるんだぜぇ」
大人の極意?みたいなことを悠々自適に話すホルマジオ。
「お互いに時間の無駄だ。正直に話して謝って、お互いに平和に行こうぜ。そうじゃーあねェか?」
ホルマジオは一歩一歩2人に近付く。
アルビノの子は震えが止まらず声も出なかったが、逆に日本人の子は依然変わりなく、怯えていない。
「素直に言うことを聞けば、危害は加えねェ。ついでに教えてもらうぜ。どうやって5階から抜け出した?俺の仲間をどうやって気絶させた?他の奴らはどこにいる?隠れん坊にしては人数多すぎで、夜勤続きの俺たちには、ちと重荷なんでよォ?」
(……)
リゾットは子供たちを挟むように、ホルマジオとは反対側の場所にいて、その様子を眺める。
透明になっているから、決してばれることはない。ホルマジオが注意を引いている隙に、ゆっくりと子供たちに近付く。
あまり手荒なまねはしたくない。当て身をして気絶させるのが得策だ。
ホルマジオが諭す中、日本人の子は、マフラーの中から何か黒い物を取り出した。
(ん?あ、れ、は…まさか……!)
ギャングであるホルマジオにとって、歯ブラシと同じくらい見覚えるあるブツだった。
拳銃だ。
(何でそんなもの隠し持ってんだ!?まさか、誘拐犯の野郎からこっそり入手し……)
しかも驚くべきところはそこじゃあない。
構え方が、素人じゃなかった。明らかに経験者による慣れた構えだ。
そして構えている先は、ホルマジオの方とは、
・・・・・・
反対側だった。
(!)
そこには、誰の姿も見当たらない。
・・・・・・・
見当たらないが、そこには……
(はァ?なぜそこに構えてやがる?そっち側にいるのは…!)
ダァンダァンッ!ダァンッ!
子供は10mほど先の方へ4発ほど弾丸をぶち込んだ。
「リゾット!!」