第2章 No.9
「って、そのガキは…!」
ホルマジオが言い終わるより先に、日本人の子はアルビノの子の手を強引に掴み、反対側へ走っていった。
ホルマジオの方へ注意を向けているリゾットの目を盗んで、脱兎のごとく逃げ出した。
「ちょ!ちょっと…メーラ!?」
「な!ガキ!どこ行きやがる…?!」
ホルマジオはすぐさま追いかける。リゾットとすれ違いざまにアイコンタクトをとる。
(分かったぜリゾット。追っ手を挟み撃ちにするのに、アンタはお得意の透明になって、反対側に回り込む、だよなァ?)
ホルマジオとリゾットがターゲットを追い込むための常套手段である。
リゾットはスタンド能力で透明と化し、ホルマジオとは逆の方向へ行く。
挟み撃ちにして、リゾットがとどめを刺すか、それともホルマジオがスタンドで傷付けて、相手を小さくして拷問にかけるか。それは臨機応変だ。
(“ここ”(病院)は病室を囲んで、廊下がぐるっと一つになっている仕掛けだ)
階段とは真反対のところへ追い込み、姿が見えねェリゾットがガキ共を捕まえる。
(イルーゾォがガキなんぞにやられるなんぞ、正直、マヌケにもほどがあるぜ。目ェ覚ましたら、とことんイジってやるぜ。ケケケ)
あとガキの方は、捕まえたらお尻ペンペンくれェの仕置きはしておく必要はあるかもなァ。
ホルマジオは子供2人を追いかけるよう廊下を走る。
ここは真夜中の迷路みたいな道とは違ェ。一方通行。しかも相手は大人じゃあなくただの子供2人だ!
(だが、これは暗殺任務でやる追い込み方だ。暗殺対象でもねェ、ましてや乳臭ェガキ共に使うなんざ、用心過ぎな気がするぜ。リゾット)
しょうがねーなぁ~。
案の定アルビノの子はとろく、日本人の子の足の速さに合わせることができす、転んで跪いていた。
そのそばで日本人の子は立ち上がらせようとする。
(あの黒い方が他のガキ共を逃がしたに違いねェな。抜け目ねェ。スラム街か何かの育ちか?日本は銃すら持たねェ安息の国と聞いていたがな)
どこに隠した。廃墟の壁を伝って、外に出もいるのか?それともまだこの病院内のどこかに身を潜めているか?
まあそれは、話は捕まえた後、じっくり聞かせてもらうぜェ!
ホルマジオは念のためにリトル・フィートを背後に出す。