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狼と赤い果実《ジョジョの奇妙な冒険》

第2章 No.9



「……言いたいことは理解した。だが断る。なぜなら、それを決めるのは、俺たちじゃあない」

“組織”(パッショーネ)にいる以上、必要な暗殺以外をやるのは禁じられている。

ギャングにはギャングなりの秩序がある。

(少し長話が過ぎたな。だが、今の話で修道院に関して、色々分かってきたぞ)

どうやら修道院のシスターは、特異体質を持つ子供を保護していたようだな。

慈善事業というところか。そこで運悪く目を付けられ、夜中に襲撃を食らった。

もしかすると、俺たちが殺した奴らとは別で、他にも仲間がいるのか?

殺した誘拐犯は人身売買の仲介業者。本当の黒幕がもっと別に……

(実際に修道院へ行って確認した方が良さそうだな。皆を先に帰して、俺1人で行くか)

請け負った仕事が終わったとしても、疑問があれば真実を徹底して、真実を追求する。

たとえ汚れた仕事だと言われても、リゾットはプロの暗殺者としての意識は一番あった。

でなければ、リーダーは務まらない。


すると今度は、ある些細なことに気付く。

(この日本人の子供。子供にしては、さっきから
・・・・・・・・・
落ち着きすぎている。怯えが一切感じられない。最初会った時から、そこが気になっていた)

震え一つも起こしていない。性格的な問題か?俺をすごく警戒している、が。

リゾットはその子を指さした。

「……その日本人の子供、お前の友人か?」

何でそんなことを聞くんだと、アルビノの子は目を丸くさせる。

「え?えっと…怪我してたところを、シスターが保護して。3ヶ月くらい前に……」

(やはりコイツ、
・・・・・・・・・・・・
距離を確実に取っているな)

子供の視線が“ある一点”にずっと焦点を当てていることに気付く。

リゾットの足下ばかりを気にしているのだ。

試しにじりじりと距離を詰める。すると鼓動するように、日本人の子は後ずさりする。

熊と遭遇した時のように、慎重にゆっくりと。

「そんなに俺が怖いか?」

試しに声をかけてみると、その子供はゆっくりと顔を上げた。


その時ホルマジオが脱兎のごとく、背後からやって来た。

ダッダッダッ!

「リゾット!ガキ共が部屋にいねえ!しかもイルーゾォが誰かにやられて…!」

子供は舌打ちをして目つきを変えた。殺意や闘争心を秘めた目に変わった。

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