第2章 No.9
「精鋭のわりには思ったほどでもなかったな」
リゾットと同じくプロシュートも同じ事を思っていた。自分たちの思惑通りすぎて、逆に拍子抜けした。
ギアッチョは、早朝からの長時間運転で疲労と苛つきが溜まっている。
「お前たちは死体の回収を始めてくれ。俺は上で2人と合流する」
リゾットは2階のプロシュートとギアッチョと別れ、5階へ行くために階段を上がった。
どんなに慎重な作戦でも、暗殺においてアクシデントはある。
無関係者に気付かれず証拠も残さず殺すとなると、場所と時間は限られる。
大人数がターゲットの暗殺は特にリスクが高い。
しかしリゾットは、裏社会に足を踏み入れた7年前から今まで一度も任務に失敗したことがない。
そして、それを過信して相手を甘く見ることも一度としてない。
今こうして足を運んでいるのは、スタンドパワーを多く消費したイルーゾォとホルマジオのことを気にかけているからだ。
敵にはもちろん、部下のことも甘く見ない。
全員合流したら、何事もなく任務を終えアジトへ戻る。
・・・・・・
この瞬間まではそう考えていた…
バンッ!
4階の廊下に差し掛かったその時、目の前に飛び込んできた。
「!」
日本人の子供がアルビノの子の腕を引いて、横切った。
「何ッ?!」
「!」
日本人の子がリゾットの存在に気付き、驚いて思わず走るスピードを緩め、その反動でアルビノの子はこけた。
「痛ッ!」
すぐに立ち上がらせて、彼女を自分の背後に隠す。
息を切らせながら、こちらを注意深く見てゆっくり後ろへ下がった。
(どういうことだ?何故子供達が廊下を走っている?)
リゾットは小学校の先生みたいなことを考えていた。
しかし、走った行為に対しての疑問ではなく、どうやってイルーゾォの監視の目を盗んで4階に下りてきたのかに対する疑問だ。
そもそも、マン・イン・ザ・ミラーの鏡の世界にいる限り、イルーゾォの許可なしで出ることなど不可能なはず。
なぜここにいる?