第2章 No.9
ここに来る前から、何かがおかしいと薄々気付いていた
ガキ共を誘拐したアイツらはこまめに連絡すると言っておきながら、9時頃から急に無くなったのが不自然だった!
修道院の“想定外なこと”で動揺してたかと思ったが、やはり何かあったんだ!
まだそれほどガスに当たってない後方は急いで外に出られたが、前方にいた何人かが急激な老化で立つことも出来ずその場でくたばった。
15にも減った隊は、先に鉄器がついたロープを屋上に投げて、それを使って降り始める。
その様子を3階から見ていたプロシュートは、持っていた無線機で“誰か”に知らせた。
「やれ」
スゥ
「?」
急に辺りが暗くなって、列の一番上を登っていた男は見上げた。
その瞬間、見なければ良かったと心の中で思ったが、もう遅かった…
ガシャン!
グシャャァ!!
上から鉄骨が霰のように降ってきて、男に直撃して落下した。
喚声と衝撃音が混じり合って、下の茶色い地面は赤く滲んだ。
「これほどの量を小さくするのにあ、時間かかったんだぜ。こんな一瞬で使っちまうのは惜しい気がするがよお」
屋上ではホルマジオが、小さな粒をはなさかじいさんのように下に落としていた。
そして背後に自分のスタンドを出した。
“リトル・フィート!”
ドォンッ!
豆粒は突如大きな廃車に変わって、重力で真っ先に落ちて、壁に張り付いている男達を次々に潰した。
ガシャンッ!
ドォッン!
(ふぅ…こんな真っ昼間に騒音出してんのにな。周りの地形に救われたぜ。電波も遠いくらいド田舎だからな…)
下を見下ろしたら、もう誰も雲の糸のようによじ登ってなく、あるのは地面の赤い死体とさびた色の車体くらい。
全員落とし殺したのを確認したら、仲間と合流しに3階へ向かった。
「イルーゾォの奴、俺がこんな重労働してんのに子守とはな。ガキに交じって子守歌でも聞いてやるか」
子供が監禁されてある部屋に寄り道することにした。
3階では、
「もう2階の奴らは衰弱死した。外にも生き残りはいねえ」
あっけなく任務が終わって、閉まらないムードだった。
リゾットとホルマジオは、念のため奇襲前にギアッチョの“ホワイトアルバム”で、体を冷やしておいたがその必要もなかった。
(こんなあっさりといくものか?)
何かが…腑に落ちない